労災事故による手指の骨折で後遺障害が残った場合に受けられる補償とは?

機械への巻き込みや刃物などによる怪我、重いものの落下などにより、手指の骨折などの労災事故が起こるケースがあります。

労災で指を骨折した場合に残りうる後遺症とは

指を骨折した場合に残り打つ後遺障害として、指を動かす能力が損なわれる「機能障害」、痛みやしびれといった「神経障害」があります。

機能障害

指の機能障害とは、関節や筋肉の損傷などにより指の関節の動きが損なわれた後遺障害のことをいいます。

指の曲げ伸ばしができない、物をつかむ、握る、挟むなどの動作が困難になる、関節が完全に曲がらないなどの症状があります。

指の機能障害の場合、以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。

等級障害の内容
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
7級7号1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの
8級4号1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの
9級9号1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの
10級6号1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの
12級9号1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
13級4号1手の小指の用を廃したもの
14級7号1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

神経障害

指の神経障害とは、指の神経が損傷することによって指に痛みがしびれが残った後遺障害のことをいいます。

指先のしびれやチクチク感、感覚の低下、異常な痛み、温度がわからないなどの症状があります。

指の神経障害の場合、以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。

等級障害の内容
12級12号局部にがん固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

労災保険から受けられる給付・補償の種類

治療費や休業補償は労災保険から給付される

労災で受けられる補償内容は、①休業(補償)給付、②療養(補償)給付、③障害(補償)給付、④遺族(補償)給付、⑤傷病(補償)給付などです。

① 休業(補償)給付

労災により仕事を休んだ場合、4日目以降から給付基礎日額の60%が支給され、さらに20%分が特別支給金として支給されます。結果として、収入の80%が補償されます。給付基礎日額は、災害発生日の直前3か月間の賃金総額を暦日数で割った額です。

② 療養(補償)給付

労災で病気やケガをしたとき、治療費や入院費などの自己負担なく医療を受けられる制度です。労災発生から治癒または症状固定までの期間に適用されます。

③ 障害(補償)給付

症状固定後に障害が残った場合、等級に応じて年金(1~7級)または一時金(8~14級)が支給されます。

④ 遺族(補償)給付

労災で労働者が亡くなった場合、生計を共にしていた遺族に年金が支給されます。該当する遺族がいない場合は一時金が支給されます。

⑤ 傷病(補償)給付

1年6か月以上治癒しない場合、傷病等級1~3級に該当すれば年金が支給されます。該当しない場合は、休業給付が継続されます。

慰謝料や逸失利益の全額は補償されない

労災保険は会社の落ち度のあるなしにかかわらず、業務中の事故による負傷等であれば一定額を労働者に給付するもので、労働者にとって器量な制度ですが、労災保険は国が定めた制度として、いわば最低限の補償給付を行うものといえます。

つまり、労災保険では給付されない労働者の損害があり、例えば①慰謝料(入・通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)や、②事故前収入の100%分の休業補償などは支払ってもらうことが出来ません。

労災事故の発生について、会社にも責任があれば、労働者は労災保険では補償給付を受けられない損害項目である、①慰謝料(入・通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)や、②100%分の休業損害の各賠償請求を会社に対して行うことができます。

会社の責任を問う「損害賠償請求」という選択肢

会社が負うべき「安全配慮義務」とは?

自分一人で作業中に怪我をした場合など、労働者の不注意が原因と思われる事故でも、会社の安全管理体制に不備があれば、安全配慮義務違反として損害賠償を請求できます。ただし、会社は「労働者の過失で事故が起きた」と主張して責任を否定することがあります。

安全配慮義務は、従業員の心身の安全を守るために事業者が負う義務で、業種や作業内容などを総合的に考慮して判断されます。教育不足や会社の管理する設備の不備が原因の場合は、違反を問いやすいです。

また、労働安全衛生法や規則に違反して事故が起きた場合も同様です。一方、工場内での単なる転倒(階段を降りているときに滑って転倒したケース)などは、安全配慮義務違反を問うのは難しいです(ただし労災は適用されます)。

重大事故で法令違反が認められれば、会社の責任を問いやすくなります。損害賠償請求の時効は10年です。

安全装置の不備や教育不足は会社の責任が問われる典型例

安全配慮義務の内容は、業種、作業内容、作業環境、被災者の地位や経験、当時の技術水準など様々な要素を総合的に考慮して決まります。

そのため、具体的な被災状況をお伺いしてからでないと、会社に対して安全配慮義務違反を問えるかどうかは分かりません。

もっとも、当事務所の経験上、「会社の従業員に対する教育不足が原因で被災した」場合や、「会社が管理支配する場所で、会社から提供された機械や道具が原因で被災した」場合には、比較的安全配慮義務違反を問いやすいと言えます。

当事務所のサポート内容

後遺障害認定に際しては後遺障害診断書の記載が非常に重要であり、記載内容によっては、認定される等級結果や補償にも大きく影響が出る可能性があります。

また、ご本人が労基署で面談する際にも、初めてのことで、ご自身で上手く症状等を説明できるかどうか不安な方も多いかと思います。

当事務所は、労災被害に遭われた方の後遺障害の申請のサポートに注力し、適切な障害診断書となっているか等のチェックを行うだけでなく、ご本人の労基署での面談時に上手くご自身の症状を伝えることができるように、事前に打ち合わせ等を実施しサポートさせていただきます。

福岡市と北九州市に事務所がありますので、お近くの事務所で弁護士と直接打合せをすることが可能です。

面談日程調整のお問い合わせは、電話でもLINE(ID:t.onizuka@oni-law.com)でも可能です。

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